【評価/感想】(ネタバレ無)映画版アサシンクリード【批評/レビュー】

アクション

Ubisoftの大人気シリーズ「アサシンクリード」の映画版。

主演にマイケル・ファスベンダーを迎え、マリオン・コティヤールやマイケル・ケネス・ウィリアムズと言った有名俳優を多数起用した本格的な実写版になっており、原作と同じ世界観を有したオリジナルのストーリーが描かれる。

関連記事>>>映画版を見る前にゲーム版のストーリーを総復習。

▼あらすじ▼

評価できる点

原作よりも重点が置かれている現代編

原作とは異なり、映画版は現代編を中心に進行する。

原作では、先祖の記憶を辿る過去編がメインとして存在し、あくまでも現代編はサブ的な存在。だが、映画版では現代編における主人公カラム・リンチの葛藤と、彼を囚えている企業の陰謀を中心に描かれる。

要するに”原作ほど歴史のIfを描いた印象はない”。
個人的には、原作では未だに見ることが出来ない「現代編アサシン」の序章を描いている点が斬新に感じられ、映画の印象は悪くない。
また、原作ではシリーズを重ねる毎に現代編が蛇足気味になり、直近の作品では「もはや必要性を感じない」ほどだったのだが、映画版の方では「現在」と「過去」を交差させてストーリーを展開していく意図が感じられ、これも好印象だ。

原作と共通したスタート

余談だが、映画版と原作のスタートはよく似ている。
主人公が謎の企業に身柄を拘束され、謎の女性科学者と謎の男に指示されるままに「アニムス」に乗せられ、最初の”退行”を行う。

この流れは原作と同じだ。

原作へのリスペクトを感じる過去編

過去編の舞台は15世紀スペイン。
やはり映画版も「エデンの果実」を巡るアサシン教団とテンプレ騎士団との死闘が描かれ、アサシンクリードの名に恥じないアクションがてんこ盛りである。

大勢の敵との殺陣シーンや騎馬戦など、アクション映画としての見所がちゃんと用意されており、さり気なく登場する原作へのオマージュも嬉しい。

また、原作で言えば『アサシンクリード ユニティ』を彷彿させる流れるようなパルクールは非常に見応えがあり、シリーズお決まりの「イーグルダイブ」も見逃せない。それ以外にも、マネしたくなる印象的なポーズやシーンも見られ、原作同様に中二心を十分に満たしてくれる。

確かにポスターやトレーラーで強調されるほど過去編の割合は高くない。
しかし、短い中でも”アサシンクリードらしい”シーンがきちんと用意されており、シリーズファンは間違いなく楽しめるはずだ。

躍動感溢れるアニムス

映画仕様の「アニムス」は迫力満点。
原作ではまるでベッドのような装置だが、映画版では巨大なアーム型になっており、主人公の様々なアクションに対応できる。映画では先祖の動きに合わせて激しく動き、主人公と先祖の動きが完全にシンクロする演出が見られるのだが、それは原作を一作目から遊んできた私でも斬新に見え、夢中にその動きを目で追うほどだった。

原作であるビデオゲームの方で、画面を連続して切り替えて主人公と先祖の動きを見せるのは、プレイアビリティの面で問題があると思うが、原作の「アニムス」にもこうした工夫が欲しいと感じた。

欠点

シリーズファン向け

原作同様に”多くの謎を残したまま”エンディングを迎える。

さらに初見には厳し目の内容になっており、「アサシン教団」「エデンの果実」や「アニムス」と言われても混乱するはずだ。この点は原作の悪い、取っ付きにくい点が出てしまっている。

印象としては、予備知識を持ったシリーズファン向けのストーリーであり、それ以外の人たちは釈然としない感覚を覚えることは容易に想像できる。

イーグルダイブの着地シーンが描かれていない

個人的には、実写映画でどのように「イーグルダイブ」の着地シーンを表現するのか気になっていたのだが、結局はっきりしないままだったのは本当に残念だ。

ただ、実際に約40mから命綱なしでスタントマンをジャンプさせた“本物のイーグルダイブ”は、一見の価値ありと感じる印象的なシーンに仕上がっている。

【総評】続編に期待できる序章

良くも悪くも原作に忠実な映画版。
それゆえに謎は依然として謎のままであったり、熱心なシリーズファン以外は完全にストーリーを理解できない面は存在するが、”アサシンクリードのファンであれば”観て後悔しない実写版にはなっており、原作ファンにとっては理想的な一作である。